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純の恋人
第10章 国重一の後悔
土居はあんな馬鹿だが医者の息子だ、クスリの怖さは知っているだろう。人を薬漬けにしても、自分では使っていないはずだ。もちろん使わずとも所持した時点で逮捕に間違いはないが、これだけでは執行猶予になってしまう可能性も否定は出来なかった。
「分かってる。これを機に、全部吐き出させてやるよ」
本当の意味で奴を反省させるには、取り調べで吐かせなきゃならない。二度とこんな事件を繰り返さないためにも、俺はまだ安堵する訳にはいかなかった。
「じゃ、彼女を送り帰したら、絞り上げますよ。彼女にも話は聞きたいですが、今日は休ませてあげましょう」
「送るって、どこにだよ。実家じゃ信用ならないし、マンションに一人で戻す訳にもいかないだろ。吉川真子に連絡を取って、迎えに来てもらうしかないんじゃないのか?」
「あなたの家に泊めればいいんじゃないですか? そんなにずっと抱き締めるほど、仲が良いんですから」
吉行はにやつきながら、俺をからかう。別にそんなつもりじゃない、立っていられなさそうにしていたから抱き留めただけで、他意はないんだ。