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純の恋人
第11章 過去から、未来へ
私の耳に聞こえてきたのは、国重さんの落ち着いた声。相変わらず忙しくてなかなか連絡が取れないから、こうして声を聞けると嬉しかった。
「国重さん、はい、その時間で大丈夫です! えっと……ええ、オススメはこだわりの醤油ラーメンですよ」
時間の確認だけして、国重さんは電話を切る。成実さんが口を尖らせていたけれど、私は見なかった事にして背筋を伸ばした。
「じゃ、ボイトレ頑張ってきますね。新曲出来たらまず成実さんに聞いてもらいたいですから、そのためにも沢山練習してきます」
「アンジュさん……うおおっ、オレのために曲を、感無量っス!!」
「成実さんというか、ファンの人に聞いてもらいたいっていうか……ま、いいか」
私はそそくさと部屋を出て、先生の元へ向かう。まずは自分の出来る事を頑張らなければ、私は国重さんと肩を並べられない気がしていた。
そして、夕方。美味しいと評判のラーメン屋さんで、私は国重さんと落ち合う。
「ごめんなさい国重さん、待たせちゃいましたか?」
「いや、ちょうど餃子が来て良い頃合いだ。食べるか?」