この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
純の恋人
第3章 刑事 国重一
「つまり、その若頭も、現場を目撃しながら逃げようとしていたのです。暴力団の男は彼が通報しない事に焦り、仕方なく自ら通報して、若頭が逃げられないよう身代わりを頼んだのでしょう」
暴力団が敵の暴力団に気付かず頼み事――なんだかもう訳が分からない。そもそもどちらも暴力団であったなら、誰が悪くて、誰が被害者なのかも分からない。それを聞いて、私がどうにかする事も出来そうにない。
「それで、私に何を聞きたいんですか? 確かに奇妙な事件でしょうけど、私に関係ある話だとは思えないんですが」
すると今まで沈黙していたもう一人の刑事さんが、厳しい顔をして口を開いた。
「お前の事故が、事故でなく事件だとしたら?」
「え……?」
「この際だ、はっきり言っておこう。この事故は、殺人未遂だった可能性がある」
刑事さんの言葉に、私は血の気が引く。すると坂本さんが再び刑事さんの頭を叩き、怒鳴りつけた。
「いきなりそんな事言い出したら、びびっちまって話せる事も話せなくなるだろうが!! ホンット気の利かねえ野郎だなテメェは!」