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純の恋人
第3章 刑事 国重一
 
「妙な目でじろじろ見るな。俺は国重一、まあ……吉行の言う通り、上がなんと言おうと、この件は必ず解決するつもりだ。とはいえ、俺はこの件で刑事の権力は使えない。お前の知人として接触する事になるから、覚えておけ」

「一の言う通り、あなたと一はあくまで『友達』という関係で通してもらいたいんです。刑事があなたに近付くのは不可能でも、友達があなたに話し掛けるのは誰にも咎められないでしょう? こんな強面と友達だなんて嫌でしょうけど、お願いします」

「そんな……捜査してくださるのに、嫌だなんて言いません。坂本さん、それに、国重さん、よろしくお願いします」

 坂本さんは穏やかな笑みで、私に手を差し出す。刑事さんだけあってそれは大きくてごつごつした手だったけれど、とても温かい。記憶だけでなく、事件まで背負ってしまった今、その温かさは救いだった。

「ひとまず、私は戻ります。別件とはいえ、刑事が長い間話している事が知れたら、あなたのお父様に睨まれますから。一は置いていきますから、聞きたい事があれば聞いてくださいね」

 坂本さんはそう言い残すと立ち上がり、一礼して立ち去ってしまう。
 
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