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純の恋人
第3章 刑事 国重一
「ストーカーの容疑者は、今のところ三人に絞られる。入院している現在もお前に纏わりつく男――松永 雅樹、宮城 昌哉、田中 翔、こいつらだ」
私の恋人だと名乗った三人の名前が、国重さんの口から告げられる。背中に走る寒気に耐えきれなくて、私は布団を体に巻き付け縮こまった。
「ストーカーが犯人だとすれば、逃げ場のない病院はいい籠だ。看護師や医者の目を気にしなければならないデメリットはあるが、見舞い客や入院患者に紛れ込み、お前を監視する事は容易い。だが、ここを来る前少し聞き込みをしたが、病院の関係者ではない人間がお前に近付く姿は目撃されていなかった」
すると国重さんの瞳に、私への侮蔑が混じる。嫌な気配に、私は目を逸らしてしまった。
「代わりに山ほど証言されたのは、お前の軽い生活態度だ。毎日男をとっかえひっかえ、しょっちゅう部屋を抜け出しては乱れた生活を送っているとな」
さっき坂本さんに怒られたせいか口にはしないけれど、国重さんが言いたいのは要するに「自業自得」だという事なんだろう。ストーカーされるのも、私が何か相手に思わせぶりな事をしたのかもしれないんじゃないかと。