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純の恋人
第3章 刑事 国重一
その通りかもしれない。事実三人もの人が私の恋人を名乗って、その内二人は毎回体を求めてくるのだ。その上で私の心は、イドさんを求めている。ストーカーされても同情の出来ない尻軽な女、そう推測されても文句は言えなかった。
「陰から様子を窺う奴がいないなら、お前が記憶を失ったのをいい事に、ストーカーが堂々と紛れ込んでいる可能性がある。三人には、絶対に気を許すな」
「けれど、三人と私は全員顔見知りだったみたいですよ」
「お前は馬鹿か? 知り合いがストーカーになるなんて、珍しい事じゃないだろう」
馬鹿だと言われてしまっては、ますます私は口が開きにくくなってしまう。萎縮していく心は、溜め息を止められなかった。そしてそれは国重さんの気に障ったようで、ますます彼の眉間の皺が深くなる。
「ああ、遊び相手がいなくなるのが嫌なのか? ストーカーに騙されているかもしれないのに、お気楽なものだな」
そんなつもりじゃない。でも、本来の私はそんな人間なのかもしれない。私が何も言えずにいると、国重さんはさらに苛ついた表情を見せた。
「言いたい事があるなら言ったらどうだ?」