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純の恋人
第3章 刑事 国重一
「ミヤは、お父さんの事知らないからそんな事言えるんだよ! あの人が、私に自由なんて許してくれるはずない!」
「じゃあ、諦めるのか!? 純の気持ちは、その程度のもんだったのかよ!? 見損なったよ、そんなもんなら、とっとと帰ってご機嫌取りでも何でもしてろ!!」
強い非難の言葉。私を見下す目。違う、私は知っている。彼が――ミヤが怒るのは、私が奮起すると信じているからだって。
「――そんな事、ないっ!!」
私は涙を乱暴に拭って、ミヤに向き合う。夕暮れの影に染まるミヤの怒りは、改めて直面すれば思う以上に深かった。でも、染まっているのは私も同じ。胸に溜まる憤りを、口に出さずにはいられなかった。
「このまま諦めるなんて嫌! 何のために生きるか、私初めて知ったの!! それを、お父さんに反対されたからって諦めるなんて、無理に決まってる!!」
「……ちゃんと言えるじゃないか、純。じゃあ、その気持ちを、父親に話してやればいいだろ」
険しかったミヤが、ふわりと微笑んで私の肩を叩く。ミヤは、きちんと私を分かってくれた。伝わった。それが嬉しくて、また私は泣いてしまった。