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純の恋人
第4章 そして誰もいなくなった
今の私が縋れるものは、どこにもなかった。
「――っ!!」
その瞬間、頭に痛みが走り、私は頭を抱える。また、目の前に走る砂嵐。どこまでも沈む意識。国重さんが何か話しているようだったけれど、私にはもう聞き取れなかった。
代わりに耳へ入ったのは、父の怒鳴り声。そして私自身の怒号だった。
「お父さんは、結局私を便利な道具だとしか思ってないじゃない! 私は自分の生きる道をはっきり見つけたの、絶対諦めないからっ!!」
「黙れ!! 全く、真子もお前も、揃いも揃って馬鹿ばかりだ! そんなふざけた遊び、絶対許さんからな!!」
「遊びじゃない! 皆、真剣なの!!」
そうだ、ミヤに諦めるなと言われた後、私はお父さんに話したんだっけ。そして、そこで思い知ったんだ。お父さんが可愛がっていたのは、成績優秀で自慢になる私で、それ以外の道をまるで認めてはいなかったんだって。
だから、私は両親と疎遠になったんだ。そして私より先にお父さんの気持ちに気付いていたお姉ちゃんと、仲良くなったんだ。事故なんて関係ない。私とお父さんは、初めから壊れた関係だったんだ。