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純の恋人
第4章 そして誰もいなくなった
私は初めに、噂の源が恋人だと名乗る他の二人ではない事は話している。となれば、松永さんが探す対象は私の友人全員のうちの誰かになる。それを名前だけで、探し当てられるのだろうか。
もっとも、私には見舞いに来るような友達がいない可能性もある。実際三人以外は来ていないのだから、本当に友達はいないのかもしれない。本当に恋人なら交友関係くらいある程度把握しているだろうし、松永さんが相手を名前だけで特定する事も可能なのかもしれないけれど。
「……それも、そうだな。うっかりしてた。いや、すまない。よくよく考えたら、お節介だったな」
松永さんは咳払いして誤魔化すと、何事もなかったかのように雑談へ戻った。けれどどこか落ち着かない様子で、いつもより早く帰ってしまう。何かがおかしい。私は初めて、松永さんに不信を抱いた。
次に来るのは、宮城さん。いつもロクな会話も出来ていないのに、流されずに話が出来るだろうか。不安に思いながらも、昼食を取って待ち構えた。
「純、大丈夫? 大丈夫か、もう退院なんだし」
今日も宮城さんは、つなぎ姿で来るなりベッドに乗り込んでくる。