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純の恋人
第5章 三人の正体

「そちらが……イド君? いつも妹と仲良くして下さっているとか。今日は、妹のためにわざわざありがとうございます」
「いえいえ、オレが自分から言い出した事ですから。荷物持ちとか、そういうのは任せてください」
姉に対してはイドさんも好感を持ったようで、人当たりの良い笑みで応えてくれる。姉もイドさんがいい人で安心したのか、大きく頷いた。
「純の部屋、一応掃除はしておいたけど……埃一つないくらい綺麗で、びっくりしちゃった。私が一人暮らししてた時は、こんなにしっかりしてなかったんだけどなぁ」
「へえ、純ちゃん綺麗好きだったんだね。まあ、純ちゃんだもんね」
「そう、純は昔から真面目というか几帳面というか、そういえば小学生の頃――」
「お姉ちゃん、そんな昔話はいいから!」
何を言うつもりかは分からないけど、こんな時の話は恥ずかしい事に決まっている。私は慌てて姉の口を塞ぐと、話を聞きたそうに耳を傾けていたイドさんに力説した。
「帰りましょう! まずはそれからです!」
病院だっていつまでも元気な患者を置いていたら迷惑なんだから、早く出なきゃ。そう言い訳して、私は二人の背中を押す。

