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愚者の唇
第1章 愚者の唇
「気持ち良かったか…、公開処刑」
気持ち良くて思い出したみたいだ。降って来た彼の言葉に、私は頷く。
どんなに豪奢な薔薇の花束よりも、素敵な誕生日プレゼントだった。
夕刻のオフィスで、彼はミスをした私を殴る代わりに、ファイルで自分の机を叩いた。
容赦のないその大きな音に、心配そうに見守る大勢の社員の前で私は恐怖に震え、涙を流した。
注目され、晒されるあまりの恥ずかしさに、下着を汚すどろりとした粘液がそこから溢れだし、ストッキングの色までを変えた。
「今日は絶対なにかやると思ってた…
でも、あれはない。冷や汗が出た」
そう、いつもは冷静な彼の怒りかたが本気だった。私のしたのは客先にまで迷惑をかける、えげつないミスだった。
殺されるのではないかと思うほどあの時の彼の目つきは冷たく、私が拳銃を渡しさえすれば、その場で撃ったに違いない。
私が涙を隠すために手のひらで覆った顔のなか、舌を出していたのが、彼には見えていた。
ゾクゾクとする。
土下座の格好の太股が、刺激を求めて勝手にすり合う。