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愚者の唇
第1章 愚者の唇
それは無下に振り払われた。
許可もなく余計なことをするな、だ。
脅迫内容は教えてくれず、代わりに熱く濡れた舌が耳穴を犯す。
明日の雨上がりの水たまりを踏むような水音が直接脳天に響き、グラリ、私の意識は崩壊した。
直後、彼が重なり押し入って来た。
「鳴け」
「は…はいっ」
言われずとも、声はもう抑えられない。解放された私の悲鳴は、とどろく雷鳴とシンクロしていた。
私は顔のないまま二つ折りに曲げられ、膝をあげた彼に真上から突き刺されていた。
相変わらず、自分の欲望だけに忠実な、遠慮のない打ちつけかただ。
攻撃的な鋼の硬さが柔らかな内側を叩き、めくれるほどに抉っていく。
鷲掴みにされた胸に激痛がほとばしる。彼は水饅頭の固さの指の間の脂肪を、これでもかと握りつぶそうとする。
顔にかかる服の隙間から盗み見た彼の口元は、露骨に嗜虐の笑みを湛えていた。
優しい言葉も口付けもなく、抱きつくことも許されず、与えられた苦痛と愉楽の狭間でゆがむ顔さえ見てもらえず、私は彼専属の固体として、ここに転がる。
幼いころに願った、人形になりたいという私の夢は、彼が叶えてくれる。
「もう、出る…」
そう言って引き抜こうとし、やめた。ゴムをしていたことを忘れていたようだ。
字余りのような快楽が何度か、私に与えられた。
息を飲む快楽が、彼の元に訪れた。