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ただ一つの一対
第1章 失恋した男
「どの道もう汚れるのは確定ですか。後で綺麗に掃除してくださいよ」
どうせ返事はないと分かっていながら、菊は声を掛ける。声で応える事は出来ずとも、耳に入るたび片倉の子宮は締まり、愛液を漏らして反応しているのだ。運転中にまじまじと見ている訳ではないが、見なくとも菊は把握している。僅かに高くなり、欲望に引きずり落とされる声。それは菊によって目覚めさせられたものなのだから。
だが菊の運転にも下半身にも、全く乱れはない。菊にとってそんな声は日常茶飯事、うろたえるものではなかった。
片倉が玩具責めから解放されたのは、明け方になってからだった。勤めを終え、菊が戻ってきたのは組の本宅ではなく、個人で所有するマンション。指一本動かせない片倉を抱き上げ連れ込むと、ソファに投げ出し愛撫もなく挿入した。
「あああっ!」
獣のように四つん這いとなり、片倉は何度も絶頂に震える。相手への思いやりなど全くない乱暴な責めも、果てない快楽の前には瑣末な事だ。止まらない痺れの中、ひたすら受け入れ、蜜が溢れて止まらないそこに白濁が混じるのを望んで鳴いていた。