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ただ一つの一対
第6章 夢の終わり
美和子はあまりの苦しさに、涙を一筋こぼす。するとようやく菊は足から手を離したが、ひくひくと震えるそこへ自身を与えず、指を入れて誤魔化した。
「んあぁっ!」
「長い間性奴に身をやつしていたのに、締まりがいいですね。こんなに美しい名器を投げ売りしていたとは、あの無能はとことん物の価値が分からないようだ」
とろけた頭は、自分が物扱いされていても喜びを感じる。もっと深くまで挿入して欲しいと、より強く中を締めるが、菊はあっさりと指を抜いてしまった。
「んぅ……っ」
「そんな残念そうな顔をしないでください。僕だって、こんな名器を見れば興奮くらいしますよ? しかし、今日はここまでする気がなかったので、避妊具を持っていません。非常に残念ですが、入れるのは止めて前戯だけにしましょう」
菊が子どもの出来にくい体質だというのは、組の人間ならば誰しもが知っている。そしてそれ故に菊は女遊びの際も、全く避妊する様子がない事も。則宗派の人間はそれを無節操だと馬鹿にして、菊派の人間は跡継ぎのため止むなしと容認している。そんな菊が気遣いで行為を止めるなど、有り得ない事だった。