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ただ一つの一対
第8章 聖夜の狂乱
すると凶器である銃を投げ捨てた片倉は、着ていた服も脱ぎ捨てる。そして自身の唇で菊の胸を舐め、責め始めた。
「ん、ふぅ……ああ、たまらない、若の体と、匂い。全部、私のもの……」
肩から流れる血を啜り、手を這わせ、片倉は菊を貪る。タガの外れた狂乱に、菊は息を荒げた。
「ねぇ、若……若は知らないでしょう。こんなにも深く愛した相手と、一対になれない人間の虚しさを。だって結局、あなたは望んだ相手と子を作ったんですもの」
片倉の唇が下へ移動するたび、赤い跡が菊の体に残る。菊の陰茎へ口付ける頃になると、もう血の味は残っていなかった。
「則宗様はよく文句をこぼしていました。菊さえ生まれなければあの女は死ななかった、宗一郎も逃げるなんて言わなかったって。下賎な男ですが、一対を逃した一点にだけは同情しました。あの醜い男は……私の鏡ですから」
袋や竿に手で刺激を与えながら、片倉は菊のそれへ何度も口付ける。生理現象で勃起するそれは、固く天を仰いだ。
空は、夜を越え白ばんでいる。菊は上半身を起こすと、片倉の髪を掴み、顔を上げさせた。