この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
ただ一つの一対
第1章 失恋した男
 
「そ、そうだ、素振り千回に付き合うとか!」

「確かに素振りを千回もすれば、疲れて深い眠りにつけるでしょうが……慰めと言うよりは、叱咤激励ですね」

「美味しいご飯食べるとか」

「菖蒲が作ってくれるんですか?」

「え、あたしが?」

「食べ物で釣るなら、手作りの方が嬉しいですね」

 つい先程菖蒲の料理の腕を確認したにも関わらず、菊は笑顔で要求する。だが今は、先程とは一つだけ違いがあった。

「――片倉さん!」

「はい、何でしょうか」

「ご飯作るの、手伝って!」

 手を合わせ頭を下げる菖蒲を見て、片倉は菊の表情を窺う。そして菊が小さく頷くのを見て、菖蒲の顔を上げさせた。

「かしこまりました、姫様。では姫様が稽古に向かわれている間に、下ごしらえをしておきましょう。お昼には、こちらへお戻りになりますよね?」

「片倉さん……大好き、ありがとうっ!」

 菖蒲は喜びのあまり、片倉に抱きつく。朝の平和な会話、菖蒲は夜の香りなど知らず、無邪気に笑う。抱きついた相手の、バスタオル一枚を隔てた奥。そこに、光の差さない深い黒がある事にも気付かず。
 
/219ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ