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ただ一つの一対
第2章 少女は夢を見る
「回りくどいやり方は嫌いです。してほしい事があるなら、正直に言いなさい」
「でも、それを聞いてくださるかは別なのでしょう?」
「それはもちろん」
ためらわず答える菊に、片倉は溜め息を漏らす。だがすぐに微笑みを取り戻すと、耳元で囁いた。
「では……キスしてください。それ以上の事は、求めませんから」
「まあ、それくらいなら」
返事を聞くなり、片倉は菊の唇を奪う。息もつかず、酸素がなくなる寸前まで欲を吐き出す。真っ白になった頭が自然と息継ぎを求めたその時、今まで受け入れるだった菊が食らいついてきた。
「――っ!」
ソファに押さえつけられ、残る理性すら吸い上げられる。倒錯する意識にもがいても、手を取られて支配下に置かれた。快楽が靄に変わり遠くなると、一瞬だけ自由を許される。だが蜘蛛の糸に絡み取られるように、離れた熱もすぐに菊の元に戻った。
「んっ……っ、」
交わる男の唾液は、喉を通ると媚薬に変わる。暴れる心臓は胸の尖りを敏感にして、下腹部を熱くする。片倉は足を菊の腰に絡め引き寄せるが、繋がる手は動く気配がなかった。