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ただ一つの一対
第3章 ただ一つの欠陥
慌てふためく成実は、菖蒲にとってあまり縁のない人間である。しかしだからこそ、菖蒲は余計な気を遣わずに話が出来る気がした。
「……あたし、自分の気持ちが、法律で許されないのは分かってます。でも、叔父さんが……一人の男の人として、好きなんです」
涙を拭い、菖蒲は思いの丈を吐き出す。こんな事を言えば叱られるかと考えていたが、成実から返ってきたのはあっけらかんとした答えだった。
「そりゃ、あんなナイスガイが側にいたら、惚れるのは当然ッスよ。オレだって自分が女なら、毎日ベロベロになるまで愛されたいと思うッス」
「べ、ベロベロ……?」
「いや、別にオレはそっちの趣味はないッスよ? あくまで、もし女だったらの話ッスからね」
不審人物を見るような瞳を向ける菖蒲に、成実は慌てて首を振る。そして誤魔化すように咳払いして、話を続けた。
「要するに、姫様は法律を気にしてる訳ッスね。でも、恋人の形なんて色々あるんスから、別にいいんじゃないッスか? 最終的に結婚するだけが、恋愛じゃないでしょう」
「でも、叔父さんは気にしてるもん。あたしは姪で、そんな対象にはされてないし」