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ただ一つの一対
第4章 花園への道
 
 喉へ吸い込まれるように真っ直ぐ伸びる竹刀。斬りではなく、突き。狭い打突点である突き垂れへの正確な突きは、観客席で見ていた菊に感嘆の声を上げさせた。

「これは、美しい……」

 三人の審判が旗を上げる。その時の空を切る音まで聞こえるくらい、会場は静まり返っていた。皆、技に魅入られ言葉も出なかったのだ。

「き、菊、今のってすごいのか? 相手の子、大丈夫なのか?」

 会場で顔を合わせた兄・宗一郎も、つい普段の因縁を忘れ菊に訊ねてしまう。

「えぇ、高校生の、しかも女子の大会で突きを出す選手はけして多くありません。それを稲妻のように繰り出されては、たまらないでしょうね。僕が相手の立場なら、三日は落ち込みます」

 実際、相手の選手は怯んでしまい、竹刀を持つ手が震えてしまっている。緊張、次取られたら負けという重圧、神速の突きという衝撃、これらを跳ね退けるのは、大人の男でも難しい。ましてやまだ不安定な高校生では、切り替えなど不可能である。

「空気に飲み込まれず真っ直ぐで、その上力強い……知らない間に、また一皮向けたようです。僕はまだまだ、あの子に敵いそうにありませんね」
 
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