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天使と悪魔は暁で交わる
第2章 どなた、ですか?
じゃあ、宜しくね。
と、念を軽く押されて
私はカンファレンスルームから出た。
三宅師長が延々と続きそうな外科専病棟の長い廊下から見えなくなると、喰いついてくるハイエナ。
1匹
2匹
はい、3匹。
ツカエナイ3人組だ。
「ねぇねぇ、なんだった?」
「師長が直々になんて何やらかしたの?」
「あー、まさか!」
3匹目があんまり大声を出すもんだから
ステーションスタッフがみんなこっちを見た。
ほんと
声と態度だけがデカくて
使いモンにならない癖に。
「消毒行ったんですか?」
冷えた目で、チラリと様子を伺うと
途端に顔を歪ませたトリオ。
「なによ、偉そうに」
「せっかく心配してやってんのに」
うるせーっての。
お前らに心配されるようになったら
ナース人生あがったりだっての。
何事にも動じない、と言われて。
そんな事はナイ。
お高くとまってる、と言われて。
バカは相手にしないだけ。
男いないんでしょ、と言われて。
それは当たり。
セックスは間に合ってるけど。
どうでもよくなった。
賃金アップに目が眩んだのは確かだけど
もうこんな幼稚な環境で働くのはウンザリだ。
ちょうどイイ機会だったのかもしれない。
そう考えると
激務ツアーに招かれたのも、まぁ、なんとか折り合いが
ついた気がしていた。