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天使と悪魔は暁で交わる
第2章 どなた、ですか?
そもそも急な異動につき
制服だって違うことに未だに気付いていなかった。
三宅師長、それくらいちゃんと揃えてくださいよっ。
文句を言いたくても本人はいない。
今度会ったら絶対言お、と心に固く誓う。
「あ、赤坂さんね、聞いてる聞いてる
ほら、新人くんっ!処置室行って!!
あ、ごめんごめん」
えーと、と言いながら救命主任ナースの……海里さん、と書いて何と読むんだろうか
まぁ、普通は
「海里さん、宜しくお願いします」
う、み、さ、と、とキッパリ言い切って
「かいり、です、宜しく」
ザックリ斬られるあたり
……どうなの?幸先、みたいな。
まぁ、でも仕方がないか。
今日初出場だし、大目に……
「おい、手ぇ空いてんなら手伝え」
グイ、と肘を引っ張られて
「ぎゃ!」
と、短い悲鳴すらもあげる暇なく
連れられたところは、なんと、まぁ、顔面蒼白大男の乗っかったストレッチャーの前。
「解体作業中、足場崩落
約7メートルの高さから転落しましたっ!」
ライン確保のナースが叫んでいる。
ふーん、7メートルね?
「原田さーん、わかりますかぁ、病院ですよー」
「原田さん、服、切りますね」
「原田さん、ちょっとチクっとしますよー」
患者の名前は原田さん。
対応ナースは私を入れて3人。
それに、ドクターが1人。
この無精髭のオッサン?が、肘を引っ張った張本人だ。