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天使と悪魔は暁で交わる
第2章 どなた、ですか?
「あー、こりゃ開腹だ」
んなもん患者の顔見りゃ分かるでしょ。
「器械は?」
「あ、全部そこの棚に」
「オペ室空いてる?」
ポータブルエックス線をセットしたナースが誰かに聞いている。
「オペ室は2つとも塞がってます
さっき、ここから1人入りましたよ?」
私は器械を出しながら
慌てた雰囲気を出している二人のナースに
静かに言った。
あれ、救命、聞いてたイメージと違うんじゃない?
それとも
疲れてくると、こうなる?
「ああ、そうだった
さっき運ばれてきたおばあちゃん!」
それを尻目に壁に掛けられた内線で麻酔科へ連絡をした。
「救命、赤坂です、お疲れ様です
緊急オペなんで、1人応援いいですか?
いえ、はい……お願いします」
「よーし、囲ってー、開腹しまーす」
無精髭ドクターもそれが麻酔科へだと分かったのだろう。
「あ、申し遅れました
本日付けで救命に異動して参りました
赤坂 瑠色です、宜しくお願いします」
カチャカチャと器械を並べてオペの準備を整えながら
二人のナースに頭を下げた。