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天使と悪魔は暁で交わる
第2章 どなた、ですか?

無精髭ドクターの手技はなかなかの早業で
損傷臓器の発見も修復も速い。

ふーん。

ドクターの腕はいいんだ。

器械を出す合間に盗み見たネームプレートに
『Dr.相良 幹雄』Dr. SAGARA MIKIO
名前を確認。

会話もなく進んで行くオペ。

結紮(ケッサツ)は1分間に50?ってとこか。
糸で傷を縛る、のはドクターにとっても
練習が必要なポイントだろう。


慣れ、もある。
だけど手先の器用さも大いに関係がある。








「赤坂さん、だっけ」


無精髭ドクターがポソリと呟いた。


「はい」


「キミ、オペ慣れてるね」
「そうですか?」


そして、また、無言。

救命ってよくテレビでもなんでも取り上げられて
ドラマ化もたくさんされて
ミステリーなんてのにもなったりするけど

実際はあんなにカッコいい現場とは言えない。

みんなちゃんとしたステージもないままオペに挑んだり
何日も家に帰れなかったり


だけど


「よし、漏れないな」

「終了です」

「すっごい!速い!」

ちゃんとモニターに流れる波形が
一定のリズムを刻んでいて
目の前の患者さんが呼吸をしていれば
思うことは同じはず。




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