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天使と悪魔は暁で交わる
第2章 どなた、ですか?
不思議に思って、眺めてみても
やっぱり、ヒールに間違いない。
サイズは、……23、ってとこだろうか。
そこから上を辿って、続くドアは男子手洗い。
もちろん、ここは一般立ち入り禁止だから、関係者用の手洗いなんだろうけど。
考えられる、っていうか
頭に浮かんだ事はたったの一つしかなかった。
「へぇ、ほんとにあるんだ、こんな事」
薄暗い地下の廊下に灯る
オレンジの光を鈍く反射したエナメルの黒ヒール。
しかも、片足だけ。
こんなのは、男子手洗いに連れ込まれて
何か良からぬ事をシているのか、サレているのか
まぁ、どっちもでいいんだけど
それしか、あり得ない。
アホらし。
通り道の邪魔になるのもそのままに
その奥へと続く廊下を進み、在庫管理室のラベルを確認した。
やっぱり、電子ロックシステムになっている。
きっと、誰がいつ、何をする為に入ったのかがセキュリティで確認できるようになっているんだ。
だから、今これで開けちゃうと
きっと明日には尋問されるんだろうな、と思いながら
その場所だけを確認して、もと来た道を引き返す。