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天使と悪魔は暁で交わる
第2章 どなた、ですか?


ドス、と腰を下ろしたのは医局の片隅。
見上げた時計はちょうどオヤツの時間だ。

もちろん。

真夜中の。


何人かがソファや、椅子でくたばっていて
その近辺のテーブルには栄養ドリンクの空き瓶が転がっていた。

なに、この劣悪な環境。

もう何日もお家にすら帰ってないんじゃないの?
ってなぐらいくたびれたドクターが
死相を漂わせながら眠っている。


「んがっ」


いきなり聞こえた中途半端なイビキ擬きにビクリと
肩を竦ませながら

わたしはチョコレートバーをかじった。


「旨そうなモン食ってるな」


斜め上からわたしを見下ろす髭。

相良先生だ。


「お疲れ様デス」


「あー、お疲れ」


昨日から相良先生とペアを組んでるみたいだ。
それくらい、仕事場で顔を突き合わせている。


「な、赤坂


前、どこにいたの?お前さん」


ペットボトルのお茶がゴクゴクと喉に流し込まれていく様子をじっと、見ていた。

「たいしたところではありません」


「ふーん、たいしたところじゃない、ねぇ?」

「はい」

相良先生はクルクルとキャップを閉めながら
再び尋ねてくる。

「の、割には、なーんか凄いよね?お前さん」


ちょっとだけ、突っつくような言い方に
嫌悪感。

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