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天使と悪魔は暁で交わる
第2章 どなた、ですか?
闇の獣は駅へと向かって行った。
彼とわたしは出会わない。
それに、近付きたいならチャンスだったんだ。
ぶつかってても良かったし
なんなら後をつけても良かった。
どうやってたぶらかすのかは捕まえてからだ。
だけど
今はそれどころじゃない。
後、何時間かしたらまた夜勤に入らなきゃ。
あぁ、髭の言うこと聞いて
仮眠にすれば良かった。
今さら嘆いても始まらない。
ただ
やっぱり、少しでも家に帰って休みたい。
わたしには凄く重要な事だった。
一人になって、誰にも気兼ねせず
ゆっくり休める空間は、自分のアパートだった。
服も着替えずにベッドへ倒れ込む。
バタリ、と凄い音が鳴った。
鼻、大丈夫かな。
あ、アラーム、
スマホを操作して、15時にセットする。
とにかく安らかに深い眠りにありつこう。
そして、環境の変化も伴い疲れきった身体はあっさりと
深い深い眠りの淵まで引っ張られた。
きっと
呼吸だって少なかったに違いない、それくらいにバッタリだ。
ド爆眠から呼び戻すのは
にっくきアラーム。
微睡み甚だしいほど、ユラユラと揺れるわたしは
普段意識のハッキリしている時には出来ない蠢きだったように思う。
あぉああぁぁぁあぁあぉ。
意味不な雄叫びを脳内で繰り出し
身体を起こした。