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天使と悪魔は暁で交わる
第2章 どなた、ですか?
胸元のIDを確認したのか大木男がまた叫ぶ。
「研修医に用はねぇゃ、医者はどこだよ」
「ちょっといい加減離してくれませんか?
次の処置が出来ないんですけど!」
やっと、大木男に目を合わせて怒鳴ると
大きく舌打ちをして手を離した。
が、新しい制服なのに、渇いた血がベタリと付着。
マジで……
怒りがフツフツと湧いてきた。
「それに、あなたがいらっしゃると他のスタッフが
何も出来ないから余計に処置が遅れるんですけど、
出て行ってくださいます?
ちょっと前田先生!警備呼んで!」
真夜中過ぎ、緊急で運ばれてきた25歳男性。
それにくっついて登場したこの大木男に
ERは騒然だ。
それでなくてもちょっと前に交通事故があって
新患が3人も運ばれてきたところだった。
まぁ、これだけ刺さってて普通に処置からオペまで対応できる病院がこの近辺にはないから仕方ないっちゃ仕方ない。
だけど
「医者もいない病院に運び込みやがって!
死なせたら承知しねえぞ!」
ERじゅうに響き渡ると言ってもいいぐらいの怒鳴り声だった。
あーあーあー、
もう、いいですか、もうキレましたがいいですか!