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第2章 どなた、ですか？

みんな結構いい加減なもんだ。
命にかかわる現場なのにどこか腑抜けで。

これで給料が発生するんだから
わたしなんて、もうちょっと手を抜いてやっても
バレやしないわ。


「赤坂さんは優秀なナース」


誰が言ったかは知らないが、そうラベルを貼られてしまって以来、なんとなくわたしの周りは他所他所しくなった。


優秀？
わたしが？

真面目に仕事するだけの
ただの平凡なナースが、優秀？


笑うわ。


仕事が早いと言われるのは
少しでも早く帰りたいから

何でもミスなくきっちりやり遂げるのは
お金を貰ってる以上当たり前の事だから

綺麗だけど取っ付きにくいのは
バカなあんたたちとは話すレベルが違うのよ。


若いナースはドクターと合コンの事しか考えてないし

先輩ナースはいかに玉に乗るか……
あ、コシが抜けた。

そんな事ばっかり。

ケアレスミスでも、ちょっと注意しただけで直ぐに辞めちゃうし。


わたしにはあり得ないわ
マジ。あり得ない。

これが大学病院だっていうんだから
笑うわ。



ね、何をしてるの、アンタたち、ここで。

声を大にして言いたい。

だけどもさ、めんどくさいから言わないだけよ。