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再愛
第6章 再愛
最初の夫は、私を愛してなかった。

元夫の晃司は、元々は姉の恋人だった。
私と年子の姉は、短大を卒業後、電子機器メーカー事務職に就職し、そこで、技術オペレーターの晃司と知り合い、付き合い出した。

二人は結婚するものだと思っていた。

家にも晃司が遊びに来るようになり、家族公認の付き合いをしていた。

そんな中で、姉の高校の同窓会が開かれ、数年振りに会った、同級生にあっさり心奪われ、姉は晃司さんからそっちに乗り換えた。

納得のいかない晃司さんは、何度も何度も姉に食い下がったが、姉は会社を辞めてしまい、同級生との愛を貫き、結婚してしまった。

私は晃司が気の毒になり、知らない間柄ではなかったので、姉には内緒で会うようになり、慰めるようになる。


「お姉ちゃんなんか忘れちゃいなよ」

「千鶴より、夏海ちゃんを好きになれたら楽なのに…」

最初は、酒の勢いもあったけど、姉の千鶴を忘れられない晃司と、成り行きでそういう関係を持った。

私は慰めるうちに、晃司を好きになっていたから、そうなる事を望んだ。

徐々に、晃司も、私に心を傾けていってくれたと信じていた。

晃司にとっては、私とそうなる事は、姉への復讐に過ぎなかった。

そのうち、私は晃司の子供をお腹に宿した。

私は喜んだ。

晃司は、「なら、結婚するか」と言って、私と一緒になる。

姉の面影を晃司は忘れる事はなかった。
私は、ずっと姉の身代わり。

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