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再愛
第6章 再愛
一心さんと二人きりになったのは、初めてだった。

「佳奈恵さん、寂しいんだろうね」

「えぇ」

「それでも、絵を描いていると没頭出来るから、埋められてゆくのかもね」

「私もそうでした」

「夏海さんもそうでしたか‥
実は俺もなんです」

「一心さんも?」

「俺も絵手紙を描くまで寂しかったな。
休日も一人の時間を持て余していたし、自分から誘って遊びに行くタイプでもないしね。
仕事に役立つ感性を養えるかもと思って、習い始めた。
佳奈恵さんに声を掛けて貰って、人付き合いの苦手な俺も、こうして人と交わりを持てる場所に顔を出せる様になった」

「みんな佳奈恵さんの人柄ですね。
私、一心さんの絵、好きです。
絵手紙習い始めたきっかけになる程、魅力的です」

「照れますね。
佳奈恵さんからもそう言われて、俺なんかの絵に夏海さんが立ち止まってくれたなんて‥」

「それくらい魅力的でした」

「俺も夏海さんの絵、好きですよ。
一番最初に描いた、恐竜の絵。
添えられた言葉もいい。

ジュラ紀の神秘に触れて。
あなた達に会いたい願いを絵に描く。
でしたっけ?」


「あはは
子供じみたイラストですよね。
私、センスないんです」


「いや、素敵だよ。
好きなものを描いて言葉にする。
実は、俺も恐竜好きなんだ」


「え!本当に?」

「うん、本当」

いい大人の私達は互いに好きな恐竜を言い合う。

テラノザウルス、プテラノドン、ステゴザウルス、アンモナイト、ダコザウルス、イグアノドン

私達は互いに目を合わせ、真剣になる。
そして、笑い合う。


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