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第6章 再愛

私は時折頷きながら、一心さんの話を聞いた。

「ずっと奇跡は続きませんでした。

彼女は子供が大好きだから、幼稚園の先生になったんです。
いずれ、自分の子供が欲しくなるのは、当然の事です。

俺も彼女との間に子供を望みました。
中々出来なくて、二人で検査を受けました。

彼女には全く問題がなく、
原因は、俺でした。

検査の結果、俺は無精子症でした。

諦めずに治療をしましたが、全く効果がなかったんですよ‥‥

『子供は諦めよ』
そう言ってくれた彼女が不憫でした。

俺のせいで欲しい子供が出来ないなんて‥‥

俺は、彼女を愛してました。
愛していたから‥‥
彼女を諦めました。

俺と別れて、違う人と人生を歩めば、彼女は欲しいものを手に入れられますから。

身を引き裂かれる思いで、別れを決断しました。

幸せになって欲しい。

俺の願いです。

その願いも、彼女は叶える事が出来んです。

再婚して、その方との間に子供を授かったそうです。

自分の事の様に嬉しい反面、
寂しいんです。

一人は、本当に寂しい」