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再愛
第8章 形あるものへ
「今日も圭太は塾か?」

「そうよ」

圭太が返事をするよりも早く、詩織が答える。

「なら、今日はお母さんとデートしてもいいか?」

俺の一言に驚き、視線を注ぐ二人。

びっくりしたか?
家族なら、当たり前の様な会話だろ?
俺たちは、随分、冷めた空間に居たんだな‥‥‥


「別に、行ってくればいいよ。
俺なら、外で適当に済ます」

「あっ、でも圭ちゃん‥‥」

「たまには、お父さんとデートしてきたらいい」

「圭太もそう言ってる事だし、
たまにはそうしないか?」

「でも‥‥」

「いい加減、子離れしなさい。
男には男の付き合いもあるんだよ。
なぁ、圭太」

「たまには、ゆっくり友達と飯食いたいかな」

あんまり意思というものを見せなかった圭太が俺に加算する。

「そんなもんなんだよ。
詩織」

「今日のあなた、いつもと違う」

そう言いながら、納得しない顔をする詩織。

「たまにはいいじゃないか?」

「そうね‥‥」

「詩織を連れて行きたい、美味い店があるんだ」

「そうなの?」

多分、お洒落な店を想像してるはずだ。


そんな詩織も、俺が会社に行く頃には‥‥


「たまには、夫婦でお食事もいいわね」
と乗り気になる。

「たまには、そういう時間も必要さ。
圭太も巣立っていくんだから」

少し、寂しそうな顔をする詩織。

「お洒落していくわ」

「お洒落なんていいさ」

「あら、折角のデートでしょ」

「じゃあ、会社が終わる頃に、駅で待ってて。
定時には終わらせる」

「分かったわ」


玄関で見送る詩織。

「行って来ます」


なぁ、蛍。
これでも、かなり違った朝なんだぞ。
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