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再愛
第3章 君を知る
樹良は、バックからUSBを取り出し、
俺の前にそっと置いた。
「この中に母が書いた小説が入ってます。
この小説を読んで、杉下さんに辿り着けました。
母がこんなものを書いてるなんて、思いもしなかった。
秋吉の父には、絶対に見せられない。
母の死を受け入れられずに、母のものに触れられない父が見つける前で良かった。
私が読み終えてから、触れてはいけない履歴は全て削除し、封印しました。
私が娘として、最期に母にしてあげられる事だと思ったからです。
でも…これだけは……
杉下さんが、少しでも母を偲んでくれるならという気持ちで持ってきました。
捨てても構いません。
それでも…この場では受け取って欲しい」
俺は、目の前に置かれたUSBを眺めた。
「母は、こんな事、望んでないかもしれない。
私の意思で杉下さんに会いに来ました。
杉下さんに、どうしても会ってみたくなったんです」
「どうして、俺に?」
樹良は、目の前のチーズケーキを一口食べた。
「母の好きになった人だからです」
俺は返事が出来ない。
目の前でチーズケーキを食べる樹良を見ながら、蛍を思い出す。
亡くなった事実も、まだ信じられない。
本当にそうなのか?
しかし、樹良が嘘をついているようにも見えない。
もし、そうならさ、蛍。
不思議ちゃんのお前だから、樹良の身体を借りて俺に会いに来たんじゃないのか?
お前ならやりそうだな。
初めてのデートで、こんな風にチーズケーキ食べていたもんな。
目の前のお前の娘…
あの時のお前と同じ顔で食べてるよ。
上品なペルシャ猫でも、好物の前では、笑みをこぼして、無邪気な顔になるんだな。
俺の前にそっと置いた。
「この中に母が書いた小説が入ってます。
この小説を読んで、杉下さんに辿り着けました。
母がこんなものを書いてるなんて、思いもしなかった。
秋吉の父には、絶対に見せられない。
母の死を受け入れられずに、母のものに触れられない父が見つける前で良かった。
私が読み終えてから、触れてはいけない履歴は全て削除し、封印しました。
私が娘として、最期に母にしてあげられる事だと思ったからです。
でも…これだけは……
杉下さんが、少しでも母を偲んでくれるならという気持ちで持ってきました。
捨てても構いません。
それでも…この場では受け取って欲しい」
俺は、目の前に置かれたUSBを眺めた。
「母は、こんな事、望んでないかもしれない。
私の意思で杉下さんに会いに来ました。
杉下さんに、どうしても会ってみたくなったんです」
「どうして、俺に?」
樹良は、目の前のチーズケーキを一口食べた。
「母の好きになった人だからです」
俺は返事が出来ない。
目の前でチーズケーキを食べる樹良を見ながら、蛍を思い出す。
亡くなった事実も、まだ信じられない。
本当にそうなのか?
しかし、樹良が嘘をついているようにも見えない。
もし、そうならさ、蛍。
不思議ちゃんのお前だから、樹良の身体を借りて俺に会いに来たんじゃないのか?
お前ならやりそうだな。
初めてのデートで、こんな風にチーズケーキ食べていたもんな。
目の前のお前の娘…
あの時のお前と同じ顔で食べてるよ。
上品なペルシャ猫でも、好物の前では、笑みをこぼして、無邪気な顔になるんだな。