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再愛
第5章 fake
俺は世間から言われる【逆玉】だ。

普通の暮らしなら、俺の稼ぎでやってゆけただろう。
でも、それ以上の生活を求めるのなら、詩織のようなお嬢様と結婚し、実家の援助を受けながら、自分の力では到底無理なステータスを味わう事に、甘んじてしまう。
最初は、遠慮気味だった甘えも、いつしか躊躇を忘れ、その甘えの元で贅沢で苦労のない生活を続けてきた。

その反面、自分のプライドはズタズタになっていった。
どう努力して、稼いでも、自分の力でここまでの生活は無理な事を自覚せざるを得ない。

息子をロボットと言いながら、それに従い続ける俺も、詩織に操縦されるロボットに過ぎない。

詩織の前では、理想の夫や家庭を上手く演じていれば、それでいいとすら思う様になった。

教育資金だ、住宅ローンだとかの一生を掛けて果たすはずの金の苦労は一切してないのだから。

全て、逆玉のお陰で、そんな苦労もせずに毎月の小遣いなどと決められたものもではなく、自由に遣える金にも恵まれた。

「哲ちゃんが出世する為なら、交際費は必要だものね。
ずっと、私の夫はエリートなんだって思わせてね」

そう、それさえ果たしてやれば良かった。
詩織から見た俺の価値は、見栄を張る為の道具に過ぎないのだから。
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