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第6章 再愛

私が女に生まれて、悔しいと思ってしまうのは、そんな、あの人の気紛れに近いメールですらも、激しく動揺し、さっきまでの穏やかな気持ちですらも、乱されてゆき、過去の想い出の中へと閉じ込められてしまったのだから…


『バタン』
その扉は開き、私はそこに放り出され、あの時に引き戻される。


現実はごく普通に動いている。


美容室の予約に間に合う様に支度だってしている。
化粧をし、お気に入りのワンピースにも着替えた。
バックに必要なものを入れて、確認もした。
出掛ける前の戸締りもして、時間通りの行動をしながらも…


頭の中は、あの人が居た。


もう、忘れかけた恋だった。
心に鍵をかけ、言えない事は墓場までと決めて、今日まで生きてきた。

なのに…

あんな気紛れなあの人のメールに、バカな私は支配されてしまう。


消してしまえば、呆気なく終わるのに…
私は消せなかった。



激しく燃えた心がソレを拒んだから…