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再愛
第6章 再愛
心は完全に掻き乱された。

バッサリ切ってしまおうとした髪さえも、
私は、あの人好みのロングストレートのまま。

栗色に髪を染め、癖を伸ばした真っ直ぐな髪。

私はあの人との想い出を、また追ってしまう。

美容室の鏡に映る私は、あの時に戻っていた。

更に、今日の私は時間を持て余していた。
あの日、あの時を再現するかの様な行動を取ってしまう。


哲朗さんと初めて会った、あの日の様に…

昼過ぎに上野駅に着く。
あの日、不忍口の改札であなたを待った。

私は哲朗さんに初めて電話を掛けた。

「もしもし、今、不忍口に着きました」

最初はそんなニュアンスな言葉だったと思う。

「今、俺も着いたよ。
急ぐから」

あなたは、息を切らして私の元に走ってきた。
目と目が合った瞬間、私は女になった。



ねぇ、分かる?
この気持ち。

胸を熱くし、込み上げてくる感情。


『やっと、会えた…』

分かる?
ねぇ、分かる?

女が運命だと誤解してしまうような、トキメキの中で生まれた幻想的で、それを疑わない…真っ直ぐな気持ち。
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