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第6章 再愛

あの日、あの時の、あの瞬間が蘇る。

初対面のあなたが瞳に映った時、一瞬にして芽生えた恋心。

不思議な感覚だった。

心の何処かで感じた、懐かしさやずっと会いたかった気持ち。


今となったら、これは勘違いだったんだろうね。

あなたと別れてから、私はいろんな本を読んだの。
ずっと好きだったあなたを断ち切る術を探したわ。

不倫をするカップルってね、
前世でも報われない恋をして、現世もその恋に彷徨ってしまうんですって。

妙に、納得したわ。
あの感覚は…私の中の遠い記憶がそう思わせたんじゃないかって。

馬鹿げた説だと、人は笑うかも知れない。

でも、笑わない人も居るはずよ。
報われない不倫をしても、出会えて良かったと思う恋をした人ならね。

私には、あなたとの別れが辛すぎた。
もう、その時点で人間失格の烙印を押されても、仕方ないかもしれない。

それでも…出会った形がどんな形であっても、偽らない心を育てた私は、後悔なんてしてないのよ。


寧ろ、有難う。
私を見つけてくれて。

捩れた赤い糸であっても、こんがらがった縁であっても、私はあなたに会いたかった。