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再愛
第6章 再愛
哲朗さんと初めて会ったあの日は…
私の中で永遠。

冷えた心がゆっくり溶けてゆくのは、何気ない優しさとドキドキするような恋よ。

あなたも、あの日同じ気持ちだった。


そこに嘘はない。

あなたが隣に居るだけで、私は溶けていった。
繋いだ手を離したくなかった。

公園を散歩しながら、自然に笑顔になっていった。
ただ、歩いているだけでウキウキするような気持ちなんて、大人になったら忘れちゃうでしょ?

もっと早く、あなたに出逢っていたら、どうだったかな?

多分、こんな風になってない。
今だからだよね?

あなたと私の運命は、あの日、あの時、あの瞬間から、
短くも、激しく、心に熱い焼印を押されて、皮膚を溶かすような痛みも伴い、醜さも加わりながら、消えない火傷のような、一生、隠しながら生きてゆく傷を残す。


その傷を誰にも見せないように、嘘の皮を纏うの。

なかった事には出来ない。

誰も傷つけないよう、ついた嘘は、自分本位で罪深く、決して許されない嘘なのよ。

その嘘に苦しんだり、懐かしんだり。

本当、バカよね。
鬱陶しい女だわ。全く…


だから、私はそっと綴るの。

墓場まで持ってゆく嘘を、こうして語るの。

誰にも分からない秘密の場所で、『王様の耳はロバの耳』と叫ぶかのように。


どうしてだと思う?


その嘘の元で、私は女を取り戻したからよ。
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