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再愛
第6章 再愛
想い出の締め括りに、あの人とランチを食べながら、飲んだあの店に行く。

夜のデートが出来ない分、私達のデートは昼間に限られる。

あの人は、半休を取って、私に会ってくれた。
月に二度あればいい逢瀬だったけど、私にとって幸せな時間だった。

逢瀬があるから、私は日常に戻っても笑顔で居られたのよ。

大らかになれたし、あの人の事を考える事で、やましさの中から生まれる、心の余裕も持てた。

『私は一人じゃない』

そう思わせてくれたから。


今日の夕飯は焼肉だから、軽くしないと…なんて思いながら、ゴルゴンゾーラのパスタとミモザを頼む。
本当は、ルッコラとトマトのサラダも食べたかった。
この店のハニーマスタードのドレッシングで食べたら、凄く美味しい。

いつもは、この二品は必ず頼んでいた。
それを食べながら、彼はジンバック、私はミモザを飲む。

贅沢なランチだったわ。

一人はやっぱり、寂しいね。

女ってさ、好きな男に抱かれた過去を鮮明に覚えているもんよ。

そっと思い出して、身体を熱くするのよ。

お酒を飲むと…
更にそんな気分になるの。

ふしだらね。
人妻なのに。

でも、それくらいはいいでしょ。

男も女も忘れられない想い出を、胸に仕舞い込み、時に懐かしみ、現実を受け入れるのよ。

そこは平等に出来てる。

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