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アホはお前じゃ 
第3章  
 保身第一主義の杵淵先生は、いとも簡単に綾香ちゃんの電話番号を大基に手渡しました。
 杵淵先生のスマホのケースはルルロロちゃんでした。
 あれ、まさか綾香ちゃんの趣味じゃないですよね?
 なんて、別にどうだっていいんですけど。

 大基が綾香ちゃんに電話をかけたのは、深夜1時を過ぎてからだったと思います。
 そうでしたよね?


 私は正直不安でたまりませんでした。
 もし綾香ちゃんが両親に話したりして、大基が捕まりでもすれば・・・。
 “今度こそ”実刑にでもなったら・・・と、そればかり考えていました。


 けれど、心配する必要はなかったですね。
 杵淵先生が綾香ちゃんに先に話をつけてましたから。


 ずっと聞きたかったんですけど、綾香ちゃんあの時、どんな気分でした?


 成績低下を理由に退学をほのめかして脅して綾香ちゃんの処女を奪って。
 1年間かけてアナルの処女も奪って。
 綾香ちゃんの恥ずかしいところをいっぱい撮影して。
 最後にはそれを理由に再び脅して自主退学に導く立派な教師から受けた電話に対して。



 どんな気分になりました?



 大基いわく、綾香ちゃんは泣いていたそうですね。
 


 担任教師から酷い仕打ちで2年もの間続いた辱めの終止符を最悪なケースで打たれた直後に知らないオッサンから突然電話があるなんて夢にも思わなかったせいもあるでしょうし、自分の恥ずかしい動画を知らないオッサンに見られたせいもあるでしょうし、将来に対する絶望感や、両親への負い目もあったかも知れません。


 ねぇ?
 大基って酷い男ですね。
 どうして、一度電話を切ったんでしょう。


 だいじょうぶ、修理のときにたまたま見てしまったけど、上手いこと細工してデータだけ取り出して、あのオッサンが世間に流すことがでけへんようれにしといたから。



 なんて、少し考えれば嘘だと分かるようなことを慰め文句にして。
 


 だから、杵淵先生から受けた酷い仕打ちにより、藁をも縋りたいほど精神的に追い込まれていた綾香ちゃんはいとも簡単に大基の話を信じてしまい。



 そして。



 一週間ほど経ってから、わざわざ大基に電話を掛けたんでしょうか?




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