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アホはお前じゃ
第3章
綾香ちゃんが見ず知らずのパソコン修理屋を名乗る男に電話を掛けたとき。
綾香ちゃんは電話口で、大基にこう尋ねたそうですね。
「本当に私が映ってるデータを先生がどうにか出来ないように全部取り出してくれたんですか?もしそうなら、データを私が受け取ることは出来ますか?」
と。
電話をもらったとき、大基はちょうど仕事を終えて自宅に帰ってきておりまして、夕飯の後片付けで忙しい私に代わって下の子にミルクをあげてくれているところでした。
哺乳瓶を顎の下で挟み、スマホを耳と肩の間に挟んだ器用な姿勢で、腕の中にいる次女の顔を眺めながら、大基は口元をおかしそうに歪ませていました。
私は夕食の後片付けをしていた手を止め、テレビの前にいる大基を振り向きました。
大基は私には聞かせたことのないような優しい声で何度も「ほんまに取り出した。流出することは絶対ない。もちろんデータを渡すことも出来る」と繰り返していました。
その傍らで、長女が「なぁなぁアッパ!だれからの電話なん!?なぁって!」と繰り返し、必死でケータイを奪い取ろうと努力していました。
だから綾香ちゃんはひとまず安心してしまい、背に腹は変えられないと、そう思ったんでしょうか?
会った事もない、けれども自分の裸を見たことがある知らないオッサンに、
「ただし・・・指定する場所まで直接取りに来てくれるなら、やけど」
なんて、冷静に考えなくたって怪しいとしか言いようのない誘い文句に乗って、待ち合わせの約束をしてしまったくらいなんですから。
綾香ちゃんは電話口で、大基にこう尋ねたそうですね。
「本当に私が映ってるデータを先生がどうにか出来ないように全部取り出してくれたんですか?もしそうなら、データを私が受け取ることは出来ますか?」
と。
電話をもらったとき、大基はちょうど仕事を終えて自宅に帰ってきておりまして、夕飯の後片付けで忙しい私に代わって下の子にミルクをあげてくれているところでした。
哺乳瓶を顎の下で挟み、スマホを耳と肩の間に挟んだ器用な姿勢で、腕の中にいる次女の顔を眺めながら、大基は口元をおかしそうに歪ませていました。
私は夕食の後片付けをしていた手を止め、テレビの前にいる大基を振り向きました。
大基は私には聞かせたことのないような優しい声で何度も「ほんまに取り出した。流出することは絶対ない。もちろんデータを渡すことも出来る」と繰り返していました。
その傍らで、長女が「なぁなぁアッパ!だれからの電話なん!?なぁって!」と繰り返し、必死でケータイを奪い取ろうと努力していました。
だから綾香ちゃんはひとまず安心してしまい、背に腹は変えられないと、そう思ったんでしょうか?
会った事もない、けれども自分の裸を見たことがある知らないオッサンに、
「ただし・・・指定する場所まで直接取りに来てくれるなら、やけど」
なんて、冷静に考えなくたって怪しいとしか言いようのない誘い文句に乗って、待ち合わせの約束をしてしまったくらいなんですから。