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アホはお前じゃ 
第3章  
 事実、大基は綾香ちゃんをいきなりラブホテルに拉致するようなことはしませんでした。

 ええ。
 いくら大基が好奇心旺盛な生物とはいえ、彼もイチ社会人として、最低限ぎりぎりの理性を兼ね備えているんです。
 というか、朝に私の膣で3発ヌイて自らを静めた効果が出ただけかも知れませんが。




 さて。
 あなたたちはぎこちない会話をひとつふたつ交わしたのち、マクドナルド店内に入ったそうですね。
 そこで、大基はマックシェイクを綾香ちゃんにご馳走した。
 そうでしょう?

 ほぼ満席の店内で、あなたたちは喫煙席の2名掛けの小さいテーブルに向かい合って座ったそうですね。


 大基はなかなか本題に入らず、どうだっていい世間話をしながらマックシェイクを飲んでいたとか。


 その姿を目の当たりにして、最初は警戒心を剥き出しにしていた綾香ちゃんですが、そのうちに我慢出来なくなったのか、ふふふっと声を出して笑ったそうですね。


 大基は今でも首を傾げます。
 あの時なんで綾香は俺を笑ったんかなぁ、と。


 綾香ちゃんの肩を持つ気はありませんが。
 妻としても、そりゃ笑うだろ、と思います。


 だって、図体のでかいいかついオッサンがマックシェイクのストロベリー味を飲んでいる光景ってあんまり見かけませんから。



 ・・・そうだ。



 私も昔ね。
 高校生の頃、大基と付き合う前のことです。
 初めて2人きりでマクドナルドに行った時、大基にマックシェイクを奢ってもらいました。
 今と変わらず当時から図体がでかくていかつかった大基がマックシェイクなどという可愛らしい飲み物を飲んでいるということが可笑しくてたまらず笑ってしまったことを覚えています。


 ちなみに当時も、あの日綾香ちゃんに奢ったときも、大基にとってはどちらも恐らく“財布の中に割引券が入っていたから”という理由以外他には何もないんでしょうけど、でもねぇ・・・。


 綾香ちゃんの大基に対する警戒心が解けていく様子、みたいなのは容易に想像出来ちゃったんですよね。



 私も、そうでしたから。


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