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アホはお前じゃ 
第3章  
 そういえば、私と綾香ちゃんにもたったひとつだけ、共通点があるんですよ。
 

 少し話が脱線してしまいますが、お話したい気分なので、少しのあいだご辛抱くださいね。



 私が大基に初めてマックシェイクを奢ってもらった時、私もあのときの綾香ちゃんと同じ、15歳でした。
 
 信じてもらえるか分かりませんけれど、こんな私にも当時、綾香ちゃんと杵渕先生・・・とまではいきませんが、それと同じくらい、彼氏と呼ぶには適さない、けれども身体だけは縺れに縺れた関係の男がいたんですよ。


 そうですねぇ・・・。
 その男も、杵渕先生と同じ、「先生」と呼ばれることを生業としている男でした。
 酷い男でしたよ。
 杵渕先生より趣味が悪かったです。
 まぁ、杵渕先生よりはマシな顔だったし、もうちょっと引き締まった身体をしてましたけどね。


 大基と2人でマクドナルドを訪れた時、私はその男との関係を、綾香ちゃんと同じように失ったばかりでした。
 

 だから、傷心に大基の笑顔が沁みた、とでも言いましょうか。

 
 だから、大基が私に告げた「好きや」という語尾の軽い言葉を信じて、帰り道に立ち寄った大基の家で制服を脱いで、当時から旺盛だった大基の好奇心を煽る努力をしたのかも知れません。

 
 きっと、大基が綾香ちゃんに立てていた当初の予定と同じように、私もきっと、大基にとっては通過点でしかなかったはずなんです。


 抱いてしまえば、洋服のしたにどんな身体を隠しているのか知ることが出来れば、それで満足。


 その程度のものだったはずなんですよ。
 もっと言えば私なんて、大基が男友達との競い合いで何がなんでも常に勝っていたいがための人数稼ぎのような存在だったんですから、2度目の予定すら毛頭なかったと思います。


 それなのに、大基は私を一生涯の伴侶に選びました。
 他の誰でもない「私を」、です。
 どうしてだと思います?



 ・・・ふふふ。



 
 ねぇ、大基が言ってましたよ。
 ホテルに行こうと大基に言わせたのは、綾香ちゃんだったそうですね。



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