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アホはお前じゃ 
第3章  
 だから大基は、

「ほんまやなぁ~どないしよかぁ~・・・うーん。2人きりになれるとこゆーたら・・・」

 そんな風に申し訳なさそうな素振りを見せながら、綾香ちゃんに提案したそうです。


「ホテルしかないんちゃう?」


 言うまでもなく、綾香ちゃんの表情は強張ったそうですね。
 さらにすぐ、大基が、


「でもなぁ~。なんぼおっちゃんが嫁子供おるいうてもなぁ。知らんおっちゃんとそんなとこ行くの怖いよな?俺やったら逃げるわ。でも、ほかに2人きりで話出来るとこなんかないしなぁ」


 なんて言ったものだから、もっと強張った顔で首を左右に振ったとか。


「でもホテルはさすがになぁ・・・ホテルしかないけどなぁ・・・困ったなぁ・・・」


 
 俯く綾香ちゃんを横目に、大基は店の外に視線を向けた。
 そうでしょう?
 勘の早い純粋な綾香ちゃんは、自分のためにわざわざ時間を割いてくれているパソコン修理屋のおじさんのためにも、一刻も早く決断をしなければならないと感じたのでしょうか。

 だから綾香ちゃんは緊張した面持ちで下を向きながらもしっかりとした口調で、

「いえ・・・ホテル・・・で、大丈夫です。すみません」

 そう言って、席を立ったそうですね。



 さて。
 ちょうど、とでも言いましょうか。
 マクドナルドを出て動物園のほうへ信号を渡ると、奥はラブホ街になっています。
 天王寺のラブホ街は他の大阪府下のラブホ街と比較すると平均して安価なので、大基は私以外の女性の膣を利用する際、頻繁にそのラブホ街を訪れているようでした。

 
 ですので、最初に入った行きつけのホテルが満室だったからといって諦めることなく、大基は綾香ちゃんを連れてすぐに別のホテルに入ったそうです。


 大基は入り口入ってすぐのモニター前で、残りわずかな空き部屋を選びながら、背後で縮こまる綾香ちゃんに「上の子を動物園に連れてく約束しとるから、また明日も天王寺来なあかんねん。あーあ、毎週どっか連れてかなあかんから難儀するわ」なんて、笑顔で言ったとか。
 

 


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