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アホはお前じゃ 
第3章  
 ベッドから立ち上がり、空っぽのSDカード方手に綾香ちゃんの方へじりじり足を進める大基を見上げながら。




「ま。そんなヤツでも大人なったら嫁もらって子供もデキて、つまらんことも多いけど平凡に楽しく生きれとるから。親やら親戚やらにどうこう言われたくらいで気にしなや。人生な、深く考えとったら生きて行けんときもあるからな。はい、これが言うてた件のSDカード。データ全部入ったーるからな」



 もちろん、大基は下心を完全に忘却していたわけではありません。
 いえ?むしろ逆ですね
 これからどうやって綾香ちゃんの身ぐるみを剥いでやろうか考えて胸が高鳴っていたそうです。


 ただし。
 ひとつ言えることは、大基が妻である私以外の人間に高校中退の真実を話したのはこれが初めてでした。


 のちに綾香ちゃんも知るところとなりますが、“しかるべき処遇”を受けたのち、その後私と出会うことになる定時制高校に入学してきてから現在に至るまでのあいだ、友人・知人関係には退学の理由について「同級生との喧嘩」で片付けていますから。
 良識ある、大人として。


 さて、綾香ちゃんは目の前に差し出されたSDカードを呆然と眺めていたそうですね。
 時計の針は23時を過ぎていたとか。
 大基は笑顔を見せながら指の間に存在するSDカードを顎で指し、


「ほら、はよこれ持って帰りや。でなきゃおっちゃんにエッチなことされてまうで?」


 と、ハーフパンツの下で大きく張り出したものを隠そうともせず、綾香ちゃんを急かした。


「ほら、はようしーや。ぐずぐずしとったらおっちゃん、イラついてキレてまうかも分からんで。ええの?それとも、明日も天王寺まで来やなあかん気の毒なおっちゃんに今日の手間賃として“喜んで”一発ヤラしてくれる気があるってことやったりして?うへぁ~~そうやったら助かるなぁ。見てのとおり、おっちゃんこんなんなってるから。すっきりしたらキレんで済むかも分からんしなぁ」


 こんな風に。
 笑顔で。
 ・・・そうですよね?

 

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