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第22章 狼 -祐樹side-
今朝は、出勤時間より早めに理香を迎えに行った。
大きめのスーツケースを手にスーツ姿の理香。
もちろん俺もスーツを着ている。

理香が親を心配させたくないと言うので、双方の親にも出張で通すことにしたからだ。

頬の腫れは引いたみたいだが、目元は腫れている。
信号待ちで、そっと頬に触れると、理香はビクっと小さく震えた。
頭を撫でて、ハンドルに手を戻す。

理香が静かに息を吐いた。


もしかして…俺も怖いのか?

昨日、医務室に理香を迎えに行った時に産業医から言われたことを思い出した。

‘ 今後、あなたも含めて ‘ 男 ’ を怖いと思うようになるかもしれない ’

俺たちが考えている以上に理香は傷ついていて、本人の意思とは関係なく心や身体が ‘ 男 ’ を拒否する可能性があると。
焦らずにじっくり時間をかけて向き合うように言われた。

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