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面影
第4章 秘密
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ーーー コソコソ … ザワザワ …
「…可哀想にね、まだ若かったのに」
「…棗くん。血の繋がってない”母親”と
一緒に住むんでしょ?
大丈夫なのかしら?」
「… あら、それどういう意味よ。
あははは。」
「…だって高校生よ?何があるか
分らないじゃない。ははは。」
「…それに棗くん。正樹さんに
”ソックリ”なキレイな顔してるから。」
ーーー ツー………
『 … 棗?泣いてるの?』
『 …リ……モノ…!!!』
『 えっ、なに。棗きこえないよ。』
俯いていた顔を上げ、私の方を
向いた棗の頬にはツーッと涙の跡が
残っていて、その跡を辿るように
涙が頬に伝い続けていた。
『 ……… 』
ー 言葉が出なかった。
『 …うっ、うぅ…ぐすん…』
ー 目の前で、水晶のような瞳から
涙を流し続ける棗に
私は、何も出来なかった。
ー ただ、
何も映さない虚ろな瞳から
涙を流し続ける棗は
ゾクリとするほど、
キレイな顔をしていた。
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