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私の可愛い変態ペット
第4章 抗争演劇部
どうしよう。
走るスピードがつきすぎて惰性で今更止まれない。
誰だか分からない謎の人物に向かって危なくぶつかるというところを、なんとか身体を捻って避ける事に成功した。
謎の人物は無事だ。
「ぐわっ…」
その代わり、私自身は大きく体勢を崩して下宿の前の植木に頭から突っ込む形となったが…。
「ふははははは…、何してんのさ?」
ド派手パーカーの謎の人物は深くフードを被ったまま私を指さして笑った。
「ほら、どうぞ……」
なんて失礼な奴かと思ったけれど、次の瞬間、紳士にも私の手を引いて私の事を起こしてくれる。
「面白い奴だな、日下部柚子葉…」
ポンポンと大きな手が私の頭を撫でた。
誰だ?
声からもこの人物が白川じゃないのが分かる。
でも、どこかで聞いた声だ。
このへらへらとしたしゃべり方。
それに私の手を引いたその彼の腕にはジャラジャラと、トカゲやら蜘蛛やら髑髏やらの毒々しいシルバーアクセサリーが沢山ついている。
つい昨日聞いたのだ。
この声を。
「おはよう、日下部柚子葉…」
フードを取り払ったその人物は私の予想通り、至上演劇部部員の一人。
八頭秋芳。
その人だった。
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