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金木犀
第2章 出会い
「…ま、よかったな、何もなくて。
こんな時間に出歩いてるお前が悪いけど」
その手は、あたしを落ち着かせるかのように
優しくあたしの頭を撫でてくれる。
ずっとそっぽを向いたままの椎名くん。
だんだん、笑いが込み上げてきた。
「…ふっ。ふふっ…」
「…何。笑うなよ」
「あははははっ…」
笑いながら、更に涙が込み上げる。
「…っ、しっ、…なくん」
「…ん」
「もうちょっと、このまま…」
「…ん。」
あたしは暫く、椎名くんの優しい手に甘えていた。
航SIDE
「椎名くんってさ、結衣の事大好きだよね」
泣き止んだらしい松田がそう言って俺を見上げた。
「…そうだけど。結衣の事知ってんの?」
結衣の事を呼び捨てする女は珍しい。
「知ってるも何も。
酷いな〜、あたし達同じ中学でしたけどー?」
…え。
…え?マジ?
「マジで…?」
「マジでじゃないよ、もう。
そうだね、椎名くん結衣にしか興味なかったもんね」
「そんな事ないよ」
俺だって結衣以外の女子の1人位…
「…」
1人位…
…うわ。