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金木犀
第5章 傷ついた心

そして、最近見るようになった夢。
毎回、航が出て来て、あたしに何かを
必死に伝えようとしてる。
でもその声は全く聞こえなくて、
口の動きを読み取ろうとするんだけど…
そう思ったタイミングでいつも、
航の姿が小さくなり、
薄れて消えてしまっていた。
それが、日が経つにつれて
口の動きを読み取れるようになってきて、
あたしの名前を呼び続けてくれてる事は分かった。
そして、
「…」
そして…
「好き」…?
「好きだ」
と必死に叫んでて、あたしに向かって
手を伸ばしてて。
でも、その手を取る前に目を覚ましてしまう。
日が経つにつれてその夢は変化していて、
最初は何もない、ただの真っ白な空間だったのに
淡いピンク色に色づき、うっすらと航が現れ、
何かを伝えようとしてくれて、その言葉も
だんだん分かるようになってきた。
あたしに何か伝えようとしてるんだ。
それは分かるのに、何度夢を見ても
それが何なのか分からない。
辛そうに、泣きそうな顔で。
航はあたしに何を伝えようとしてるの?
それが知りたくて、航に会いたいと思った。

